CLTとは?

はじめに

CLT<Cross Laminated Timber>やLVL<Laminated Veneer Lumber>等の新しい技術でつくられた積層材は、現在多くの注目を浴びており、我が国の建築に新しい風を吹き込むと共に、豊富な森林資源の有効活用及び利用拡大と地球環境への貢献に大きな期待が寄せられています。
また、平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、大きな追い風となっています。
宮城県CLT等普及推進協議会は、宮城県産木材の利用拡大とCLT等利用の建物建設を推進し、建物の新たな可能性を追求し、新工法等の研究開発、そしてCLT等の普及・広報活動を進めて参ります。

森林の話し

森林は私たちに沢山の効用を与えてくれます。二酸化炭素の吸収、栄養豊かな水を作ってくれるほか、土砂災害の防止、木材・山菜等の産物の供給、ハイキングやキャンプ等の休養場所の提供など、私たちに多くの恵みを与えてくれる欠かせない存在です。しかし、我が国の森林は、木材価格下落や人材不足等から、伐採されず成長した多くの資源が残る森林の状況にあります。この状況を改善し森林に育てていくためには、木材の新しい利用方法を生み出し、利用する木材料を増やしてゆくことが重要となります。

我が国の森林面積は約2,500万ヘクタールとなっており、国土面積の約3分の2に相当し、世界でも有数の森林国といえます。また、森林面積の約6割は人工林であり植林されたスギ・ヒノキ・カラマツなどの針葉樹が主な種類であります。

人工林では、定期的に間引き等をしないと、森林に日光が差し込まず土壌環境が悪化し、土砂崩れを発生したりします。また、適切な時期に伐採し若い木に世代交代させないと二酸化炭素の吸収量が低下するなど、森林の持つ公益的機能の低下につながってしまいます。したがって、木材の利用拡大を推進し本来のサイクルを取り戻すことが大変重要となるのです。

環境の話し

先にお話しした通り、森林は私たちに沢山の効用を与えてくれます。光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収する木の営みは、地球温暖化への対策としても重要なものです。

みなさんも森林に行くと気持ちよく感じると思います。沢山の効用を与えてくれる森林は様々な働きが期待され、私たちの生活に密接した存在であることが分かります。今後、木材の利用が促進され健全な森林の育成が進むと森林はバランスのとれた状態となり多くの機能が発揮される状態となります。

また、木材は「人にやさしい自然素材」で様々な心地よい感覚を与えてくれるのです。木材の内部は、非常に細い管が密集している構造で、湿気を調節する機能や、衝撃を和らげるクッションのような機能も果たします。そして、人が触れたときに温かく感じることができますし、木の香りには気分を落ち着かせる効果等もあるのです。

木育(もくいく)の話し

森林や木材は、私たちの未来を担う子どもたちに多くの学びをさせてくれます。木を子どもの頃から身近に使っていくことを通じて、人と森や木との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育てる「木育(もくいく)」という活動が注目されています。

木育は「木材や森林との関わり合いから、知育、徳育、体育の3つの側面を効果的に育む取り組み」「木材の効能を最大限活かして人の育ちを支援する活動」として、林野庁からもその推進が促されています。各地、各団体にて「木づかい運動」の一環として様々なイベントが開催されております。

CLT等の話し

現在多くの注目を浴びているCLT<Cross Laminated Timber>やLVL<Laminated Veneer Lumber>等の新しい技術でつくられた積層材は、ひき板(ラミナ)の繊維方向を直交させたり並行させたりして積層接着した木質系材料です。建物や家具などでの利用が進んでおり、特に厚みのある大判の板は建物の壁や床の構造材として使用されています。

積層材の中で特に最近注目度が高いのはCLT<Cross Laminated Timber>です、オーストリア発信で1990年代からその利用が進み、その後、ヨーロッパ各国、そしてアメリカ・カナダ・オ―ストラリアでも利用が進んでいます。世界各地ではCLTのもつ高強度な特性とコンクリートより軽く、施工も簡易なことから「木造建物への利用」に拍車がかかっているのです。また、木材のもつ断熱性能や吸湿性能が活かされ、癒しの効果、そして森林資源の有効活用(CO2の排出抑制)等の促進も出来るため、住宅(戸建て・集合住宅)、ホテルなどの利用も進んでいます。日本では2013年にJAS(日本農林規格)での規格が定められ、2016年に建築基準法告示が公布・施行され、CLTの一般的な利用が広まりつつあります。

現在、日本国内で製造できる一番大きなサイズのCLTパネルはおおよそ3m×12mとなっています。

 

宮城県内でもCLTパネルを利用した建物の事例が増加しています。
以下、代表的な事例。

平成29年3月竣工
施主:ナイス株式会社
構造:CLT平面混構造(木造+鉄筋コンクリート造 2階建て)
延べ床面積:356.7㎡

平成29年7月竣工
施主:セルコホーム株式会社
構造:木造3階建て
述べ床面積:988.1㎡

平成30年1月竣工
施主:宮城県CLT等普及推進協議会
構造:木造1階建て
述べ床面積:95.4㎡

未来の話し

世界の各地では「木造」の高層ビルが出現しています。
未来の高層ビルは、「木造」建築となる!

CLTという新しい技術の積層板は、高層建築物の未来を変え始めています。既に世界各地で「木造の高層ビル」が出現しはじめています。政府は公共物の木造化を法制化しCLT等の普及促進を加速させています。将来、日本でもコンクリート造に代わって木造での高層ビルが各地で見られるはずです。

昨今、ケンブリッジ大学などのプロジェクトチームが、ロンドン市長に対して「80階建て、高さ300mの【木造高層ビル】」の提案図面を提出して話題を呼んでいます。提案は1,000戸以上の住居を含み、大都市にいながら人々に木のくつろぎをもたらすことができる建物となっています。
今後の動向に注目したいところです。